向田邦子を改めて読んでみる。
今年は向田邦子が亡くなって40年の年で、書店や雑誌、テレビ番組などで特集が多く組まれています。
私自身、向田邦子の大ファン。
普段、向田ファンを公言しているので、その繋がりで今回某新聞社の取材を受けることになりました。
事前に1冊選んでほしいということだったので、色々迷った挙句「隣の女」を選んだわけですが、取材を受ける前に改めて読んでみるとまた色んな気づきがあったので、記録として書いておこうと思います。(読んだことがない人には読むきっかけに、既に読んだ方には「そんな捉え方もあるんだ」と思っていただければ・・)
「一生に一度でいい、恋っての、してみたかったの」―平凡な主婦が飛び込んだNYへの恋の道行を描いた表題作、嫁き遅れた女の心の揺れを浮かび上がらせた「幸福」「胡桃の部屋」、異母兄弟の交流を綴った「下駄」、絶筆となった「春が来た」の五篇を収録。温かい眼差しで人間の哀歓を紡いだ短篇集。
子ども待ちの主人公サチ子は、ブラウス一枚1200円の内職をする主婦。
壁が薄い安いアパートでミシンを踏む毎日。
隣に住む水商売の峰子の部屋からは、男との声がいつも聞こえる。
その男の声にサチ子は恋に落ちて・・・
そんなあらすじ。
是非読んだことのない方には読んでいただきたいので、ネタバレしないように書きますが、、、 「一生に一度でいい、恋っての、してみたかったの」っていうこの言葉から想像する主人公のサチ子って、きっと今まで生きてきた中で
間違いをおかさず
ハメを外したこともなく
無難に無難に、(もしくは失敗しないように)生きてきたんではないかな?
って私は感じました。
だって、普通はニューヨーク、行かないんじゃないかなって思うのは、これまでの失敗なんかから得た経験で行ってはいけないことって頭で理解できるはずだから。
だけど、こういう話をすると、「それはそれほどの恋をしたことがないから」って言われそうなんだけど、私は改めて読みながら「いや、やっぱり行かないな」って思います。それは、これまでの経験から自分だけじゃなく、周りも巻き込んで皆が傷つくからと知っているからなんだと。
私はそういうサチ子という背景までを、今回見られた気がします。
読書って、齢を重ねて読むことでまた違った発見があるから面白い。
取材記事があがってくるのがとっても楽しみです。
今年はたくさんいい経験をさせてもらっています。